-夢食む-
伝説の霊獣「獏」。体は熊、鼻は象、目はサイ、尾は牛、足は虎になったそう。悪夢を食べてくれる事で有名だが、実は鉄や銅、武器も食べるとされる。人類の歴史は、常に「戦争」「災害」「疫病」に見舞われ続けてきた。今もパンデミックが起こり、戦争がはじまり、世界は変貌していっている。獏は、平和を望む人々の願いや念が具現化したカタチであるようにわたしは思う。 

かがわ・山なみ芸術祭2023 AYAGAWA
綾歌郡綾川町 井上電気商会

W2600×H1900mm
撮影 西川博喜

-宝幢菩薩像-(ほうどうぼさつぞう)

 綾川町山田下「法導寺」の御本尊であり国指定重要文化財として厳重に保管されている「宝幢菩薩像」を元に制作。とりどりの花をあしらった。同寺を管理されるご住職によるとこの御本尊は、廃仏毀釈による難から逃げ延び、現在のお寺へと辿り着いた苦難の旅路を送った。今作品では、神仏双方で清いものとされる白い紙の中に、神(=紙の概念)と仏が共存している様を表現した。

 かがわ・山なみ芸術祭2023 AYAGAWA
綾歌郡綾川町 井上電気商会(夢食むと同会場)

W420×H1200mm
撮影 西川博喜

-火焔-
讃岐平野には、越屋根を持つ「煙草乾燥小屋」が数多く残っています。木、土、竹、瓦、石で作られた建物は役割を終えると全てが土に還るそうです。その時をじっと待ち朽ち果てながらも凛とした存在感を目の当たりにした時、最後の火種で自らを燃え上がる炎の中に飛び込み再び蘇る「不死鳥」が産まれ天に飛び立ちゆくその瞬間をイメージしました。

かがわ・山なみ芸術祭2020AYAGAWA 
タイベック3500×3000mm

写真:宮脇慎太郎
モデル:三木優希(ダンサー)
 

-不死鳥-
円形の美しいガラス窓からは、高松市牟礼町の景色が見渡せる。 風景の中に飛び立つような感覚を起こさせる。

第34回「思可牟」
高松市石の民族資料館
 主催:同館 協力:高松市石の民族資料館友の会

-み冬尽く-
冬の時期を表す『三冬』。その長く暗い冬が終わることを意味する言葉『みふゆつく』。もう間もなく訪れる春を心待ちにする喜びの中で、微かに残っている冬をじっと見つめている様子。日常は美しいもので溢れている。光や音、空気、その瞬間を留めておきたいと、あがいてみる。白く滑らかで美しい和紙もそうだ。それ以上の美しさを求め、慎重に刃を入れる。それは、冬があける緊張感と春を期待する高揚感に似ている。

創造の刻 ミウラートヴィレッジ(松山市)
 約W2000×H1700mm
写真:泉 功太


コロナ渦により公演の機会を失い、何か違うカタチで表現できるのではないかと、絵本のように物語を組み立て、1冊の本に仕上げた。

踊り:三木優希 撮影:宮脇慎太郎

-紡ぎ唄-
この地域は、深い山に囲われ様々な動物、虫などの生態系や自然、生活軸など、とても緩やかな時間の中で存在していると感じました。家主さんから地域の事、子どもの頃の話などを伺うことが出来ました。夜の暗闇が怖かった事、星の美しさ、山からの水をカメの中に貯めて使っている事、祖母がお蚕さんを飼っていて糸を紡いでいた事、堰堤で水あそびをよくしていた事、イワタバコの花が好きだった事、牛とヤギを飼っていた事、物を大切に使っていた両親たち。

お話を伺った後に納屋へ行くととても暖かい気持ちになり、記憶や思い出の片鱗に触れたような気持ちになりました。納屋に残された足踏みミシン、乳母車、糸車。紡いだ糸が何重にも織り合わさって様々な形を生み出していくように、人々もまたかけがえのない日々を紡いできたのだと思いを馳せます。紡がれた文字は、まんのう町の子守唄を切り取りました。


かがわ・山なみ芸術祭2019 MANNO
綾歌郡まんのう町 中通集落 納屋
約W1200×H900mm (蝶) 約W150×H4000mm (文字)6列
撮影(縦全体、ミシン部分):幡多正樹

-塩江大蛇-
塩江町史のなかにある大蛇を退治した別子八郎の民話を基に構成しました。大蛇と八郎が戦った跡は、現在も地名となって残っています。

かがわ・山なみ芸術祭2019 SHIONOE  高松市塩江美術館 
 W5000×H2000mm (蛇) W150×H1500mm (文字)9列

 
写真:宮脇慎太郎

-霧の子供たち-
宮脇慎太郎写真展の「写真集 霧の子供たち」出版記念写真展のクロージングイベント。徳島の天空の集落・祖谷の風景と人間を記録した写真。人類人類学者 今福龍太氏が寄せた言葉を切りました。 ー明日を生きる者よ、このすべてを受け継ぎなさい
霧の風景は そう私たちに告げる。私たちは、光を求めてゆく 霧の子供なのであるー

灸まん美術館ギャラリー
善通寺 2019. 8. 20  W20×H1200mm 6列


音楽 :渡邊和三郎、さっこ、YOMS   踊り:三木優希 
会場装飾:長谷川隆子  ミニトーク:宮脇慎太郎×稲盛将彦

-ミズハノメ-
綾川町は山間に流れる川が美しく、静けさの中に力強い水の音が響いています。川上神社は水の神(水速売命-ミヅハノメ)を祀っており、水を大切にしてきた人々の暮らし、命の循環をテーマにしました。

かがわ・山なみ芸術祭2018AYAGAWA  monohouse 旧そぎしょ小学校
W2200×H1600mm(蝶)


写真:大河内 妙(全体、影)

-霞雲-
専念寺は、俳人小林一茶が滞在した寺として知られています。 ー元日や さらに旅宿と 思ほえず ー 元日の明け方、一茶は吐く息を白くし、きっと空を見上げたでしょう。雲に霞がかかり、新しい年を静かに迎えたのではないでしょうか。一茶の句碑から模写した文字を中心に構成しました。

瀬戸内国際芸術祭公式プログラム よるしるべ2016  専念寺  1200×900mm


写真:薄谷司郎

-海幸-
一昔前まで観音寺市内には伊吹島から取れた海産物やいりこの倉庫が連ねていました。  タイトルは、古事記の浦島太郎伝説の海幸彦(ホデリノミコト)から由来。巨大な蝶には、寛永通宝や、波、松。イワシの群れ、貝、エビなどの様々な観音寺の海のモチーフが隠れています。 有明浜を撮影した映像が蝶に映し出され、浜の匂い、懐かしいイメージを呼び起こすような展示になりました。

瀬戸内国際芸術祭公式プログラム   よるしるべ2016  山地蒲鉾倉庫   3500×2000mm

映像提供:OMOCHI  写真: 薄谷司郎